第15回創発システム・シンポジウム

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プログラム (予定)

8月8日(土)

14:00 - 14:10 開式の辞
システム工学部会 主査 京都大学 田中俊二 君
14:10 - 14:40 企画
「創発システム研究の15年を振り返る」
司会・進行 東京農工大学 近藤敏之 君
15:00 - 16:10 チュートリアル講演1
「形づくりの遺伝子ネットワーク進化への計算機実験によるアプローチ」
講師 大阪大学 藤本仰一 君
生体内の遺伝子群はネットワークを成して発生過程を調節します。生物種に応じて、同じ現象でもいい加減な調節も精巧な調節もあります。遺伝子変異の蓄積は、ネットワークひいては調節能力を変化させたようです。ネットワーク構造と調節能の対応関係は如何に抽出できるでしょうか?いい加減な調節から精巧な調節へ進化出来るでしょうか?分子生物学の発展を参照しつつ、計算機実験が現実の進化に於けるこれらの問題を解けるか共に考えましょう。
16:30 - 18:30 ポスターセッション
シンポジウム初日に参加者の交流促進もかねて,ポスターセッションを実施します.構想段階の研究,既発表の内容でも構いません.ベストポスター賞等の表彰も行いますので,学生,若手研究者の皆様は奮ってお申し込みください.多くのご発表をお待ち申し上げております.
19:00 - 21:00 懇親会(恒例野外バーベキュー)
挨拶/知能工学部会 主査 京都大学 川上浩司 君

8月9日(日)

8:30 - 9:40 チュートリアル講演2
「人工化学ー集合し,自己組織化する生物分子のシミュレーション」
講師 情報通信研究機構 鈴木秀明 君
今日の生命科学では、今や時宜を得て高速計算が可能となったコンピュータを用いて細胞まるごとをシリコンの中でシミュレーションしようというシステムズバイオロジー(SB)のような野心的な研究が行なわれている。しかしながら現在のSBは生物データとの突き合わせのため、モデルをできるだけ精密にする方向に向いており、人工ニューラルネットワーク(ANN)のような簡単化された工学にも役立つモデルを提案するには至っていない。本講演の主題である人工化学はこの点でSBを補完し、生物分子のエミュレーションを通して計算や通信のための新しい工学的モデルを設計しようという研究である。講演では人工化学の基本的な考え方について述べた後、研究の経緯と最近の動向について紹介する。
10:00 - 11:10 チュートリアル講演3
「時系列情報から読み解く数理モデル ー生体分子の階層的な構造ゆらぎを例にー」
講師 北海道大学 小松崎民樹 君
生命システムを理解するためのアプローチには、大別して、背後に存在する数理構造を提唱するトップダウン的構成論的手法と微視的な立場からマクロな現象の再現を試みるボトムアップ的還元論的手法が存在します。前者は研究者のイメージが先行し大胆な仮定や粗視化のために自然から乖離したモデルに陥る可能性が存在する一方で、後者は個々の微視的事象を枚挙するだけでシステム全体を捉えることは困難です。熱揺らぎのなかで頑健に機能を発現する仕組みや未知の環境においても適応できる創発性を内在する生命システムの全体像を解き明かすためには、“トップダウン”と“ボトムアップ”の両アプローチを橋渡しする新しい角度から見つめ直す必要があるのではないでしょうか?現象に照らし合わせつつ、できるだけ自然な形で生命システムの論理を探るために、我々が最近行っている研究の一端を紹介したいと思います。
11:30 - 12:40 チュートリアル講演4
「オートポイエーシスと人間再生」
講師 東洋大学 河本英夫 君
オートポイエーシスの機構じたいは、とても不備なかたちで定式化されている。この構想を生かすためには、つねに機構の改良形を定式化し続ける必要があるが、どのように改良するのかについての手順を示す。今回は、脳神経系障害者のリハビリでの再生技法の開発にどのようにオートポイエーシスが関与するのかを取り上げる。神経は再生しない。そのため神経系の機能回復ならびに運動能力の回復には独特の再生システムがある。これはロボットの動作に何が必要かを対比的に示すことにつながる。
<参考文献>
河本英夫『オートポイエーシス――第三世代システム』(青土社)ことに第三、四章。
河本英夫『システム現象学』(新曜社)ことに第三章、四章、六章。
12:40 - 13:40 昼食
13:40 - 14:50 チュートリアル講演5
「社会シミュレーションの考え方」
講師 早稲田大学 高橋真吾 君
社会シミュレーションでは,生来的に複雑な相互作用をする社会エージェントをモデル化し,社会システムを理解し,そこから問題の解決を目指すアプローチである。社会シミュレーションは,EpsteinのシュガースペースのようなセルモデルやAxelrodの規範生成モデルのようにシンプルな行動規則からの創発特性を見るモデルだけでなく,近年は本質的に不確実性を除去できないビジネス複雑性と呼ばれる状況下での意思決定に役立てる方向が議論されている。今回は社会シミュレーションの初心者を念頭において,基本的な考え方の特徴を中心に話をする予定である。
15:20 - 16:20 分科セミナー
チュートリアル講演ごとに5つのグループに分かれ,講師を囲んでセミナー形式で意見交換し,各講演の理解を深めます.
16:30 - 18:30 グループディスカッションA
今回のシンポジウムでは「創発システム研究の未来」という共通のテーマにつ いて参加者全員でディスカッションしたいと思います.学生参加者と一般参加 者をそれぞれ同数の少人数グループに分け,ディスカッショングループを編成 します.ディスカッションAでは,学生グループによるディスカッションを行 います.
18:30 - 19:30 夕食
19:30 - 21:00 グループディスカッションB
グループディスカッションBでは,学生グループのそれまでの議論をまとめて, 対応する一般参加者グループに対して議論の途中経過を報告します.一般参加 者グループは,その報告をもとに同じテーマについて別途ディスカッションし ます.

8月10日(月)

8:30 - 10:30 グループディスカッション報告会
一連のグループディスカッションをふまえて,各学生・一般参加者グループに ディスカッションの内容を報告して頂きます.
10:50 - 11:50 総合討論
各グループの報告を受けて,創発システム研究の未来について討論します.
11:50 - 12:00 閉式の辞
自律分散システム部会 主査 東北学院大学 菅原 研 君
最終更新日時: 2017年04月11日(Tue) 12:33:30