新着情報
シンポジウムのご案内
計測自動制御学会 システム・情報部門では,第15回創発システム・シンポジ
ウム「創発夏の学校2009」を開催致します.今年も,理論生物学,複雑系数理,
システム論など幅広い分野でご活躍の5名の講師をお迎えし,ご講演頂きます.
今年は,これまでの創発システム研究を振り返り,参加者全員で「創発システ
ム研究の未来」という共通のテーマについてディスカッションしたいと思いま
す.また昨年同様初日にポスターセッションを行い参加者間の交流促進を試み
ます.ベストポスター賞等の表彰も行いますので,学生,若手研究者の皆様は
奮ってお申し込みください.多くの皆様のご参加をお待ちしています.
開催概要
宿泊2泊,食事(初日のBBQ)を含みます.ポスター発表の登壇費は無料です.
参加・ポスター発表申込
チュートリアル講演
「形づくりの遺伝子ネットワーク進化への計算機実験によるアプローチ」
藤本 仰一 君(大阪大学)
藤本 仰一 君(大阪大学)
生体内の遺伝子群はネットワークを成して発生過程を調節します。生物種に応じて、同じ現象でもいい加減な調節も精巧な調節もあります。遺伝子変異の蓄積は、ネットワークひいては調節能力を変化させたようです。ネットワーク構造と調節能の対応関係は如何に抽出できるでしょうか?いい加減な調節から精巧な調節へ進化出来るでしょうか?分子生物学の発展を参照しつつ、計算機実験が現実の進化に於けるこれらの問題を解けるか共に考えましょう。
「人工化学 ー 集合し,自己組織化する生物分子のシミュレーション」
鈴木 秀明 君 (情報通信研究機構)
鈴木 秀明 君 (情報通信研究機構)
今日の生命科学では、今や時宜を得て高速計算が可能となったコンピュータを用いて細胞まるごとをシリコンの中でシミュレーションしようというシステムズバイオロジー(SB)のような野心的な研究が行なわれている。しかしながら現在のSBは生物データとの突き合わせのため、モデルをできるだけ精密にする方向に向いており、人工ニューラルネットワーク(ANN)のような簡単化された工学にも役立つモデルを提案するには至っていない。本講演の主題である人工化学はこの点でSBを補完し、生物分子のエミュレーションを通して計算や通信のための新しい工学的モデルを設計しようという研究である。講演では人工化学の基本的な考え方について述べた後、研究の経緯と最近の動向について紹介する。
「時系列情報から読み解く数理モデル ー生体分子の階層的な構造揺らぎを例にー 」
小松崎 民樹 君 (北海道大学)
小松崎 民樹 君 (北海道大学)
生命システムを理解するためのアプローチには、大別して、背後に存在する数理構造を提唱するトップダウン的構成論的手法と微視的な立場からマクロな現象の再現を試みるボトムアップ的還元論的手法が存在します。前者は研究者のイメージが先行し大胆な仮定や粗視化のために自然から乖離したモデルに陥る可能性が存在する一方で、後者は個々の微視的事象を枚挙するだけでシステム全体を捉えることは困難です。熱揺らぎのなかで頑健に機能を発現する仕組みや未知の環境においても適応できる創発性を内在する生命システムの全体像を解き明かすためには、“トップダウン”と“ボトムアップ”の両アプローチを橋渡しする新しい角度から見つめ直す必要があるのではないでしょうか?現象に照らし合わせつつ、できるだけ自然な形で生命システムの論理を探るために、我々が最近行っている研究の一端を紹介したいと思います。
「オートポイエーシスと人間再生」
河本 英夫 君 (東洋大学)
河本 英夫 君 (東洋大学)
オートポイエーシスの機構じたいは、とても不備なかたちで定式化されている。この構想を生かすためには、つねに機構の改良形を定式化し続ける必要があるが、どのように改良するのかについての手順を示す。今回は、脳神経系障害者のリハビリでの再生技法の開発にどのようにオートポイエーシスが関与するのかを取り上げる。神経は再生しない。そのため神経系の機能回復ならびに運動能力の回復には独特の再生システムがある。これはロボットの動作に何が必要かを対比的に示すことにつながる。
<参考文献>
河本英夫『オートポイエーシス――第三世代システム』(青土社)ことに第三、四章。
河本英夫『システム現象学』(新曜社)ことに第三章、四章、六章。
<参考文献>
河本英夫『オートポイエーシス――第三世代システム』(青土社)ことに第三、四章。
河本英夫『システム現象学』(新曜社)ことに第三章、四章、六章。
「社会シミュレーションの考え方」
高橋 真吾 君 (早稲田大学)
高橋 真吾 君 (早稲田大学)
社会シミュレーションでは,生来的に複雑な相互作用をする社会エージェントをモデル化し,社会システムを理解し,そこから問題の解決を目指すアプローチである。社会シミュレーションは,EpsteinのシュガースペースのようなセルモデルやAxelrodの規範生成モデルのようにシンプルな行動規則からの創発特性を見るモデルだけでなく,近年は本質的に不確実性を除去できないビジネス複雑性と呼ばれる状況下での意思決定に役立てる方向が議論されている。今回は社会シミュレーションの初心者を念頭において,基本的な考え方の特徴を中心に話をする予定である。
よくある質問
- 予定が合わず全日程参加できないのですが... 予定が合わず全日程ご参加頂けない場合の宿泊費・食費は減額した実費を頂戴します.参加登録フォームの「事務局への連絡事項」の欄に,何日の何時頃から参加されるかを明記ください.こちらから宿泊費の金額を連絡させて頂きます.なお,参加費につきましては,減額はございませんのであらかじめご了承ください.